コウヤマキが縁起悪いと言われる理由とは?植える前に知っておきたい豆知識

コウヤマキは縁起悪いと耳にして、不安に感じた方もいるかもしれません。たしかに葬儀や仏事で用いられる場面が多く、ネガティブなイメージを抱きがちです。しかし一方で、歴史的には神聖な木として尊ばれてきた背景もあります。本記事では、なぜコウヤマキが縁起悪いとされるのか、その由来や誤解されやすい点、植栽としての魅力までを幅広く解説します。
記事のポイント
- コウヤマキが縁起悪いと言われる理由
- コウヤマキの特徴
- コウヤマキの魅力と育て方
コウヤマキは本当に縁起が悪いのか?

コウヤマキが縁起悪いと言われるのは、仏壇のお供えに使われることが主な理由です。しかし、実際は高野山で霊木として育てられていることから縁起がいいと言われることもあるのです。ここでは、コウヤマキが縁起悪いと言われる理由について詳しく解説します。
仏事との深い関わり
コウヤマキが縁起悪いと捉えられる背景には、葬儀や供養の場で多く使われてきた歴史があります。特に仏教においては、常緑で葉が落ちにくい特性から、枯れにくい=永遠を象徴する木として重宝され、供花として頻繁に用いられてきました。
中でも、和歌山県の高野山では古くから霊木として扱われており、厳かな儀式や供養の場面で多用されています。こうした仏事との深い結びつきが「コウヤマキ=お別れの木」という印象を人々の間に根づかせ、庭や玄関先に植えることをためらう声につながっているのです。
実際には、不吉な性質があるわけではなく、宗教的・文化的な使用場面によって特定のイメージが形成されただけです。本来は崇高な木として敬意をもって扱われてきた存在であり、どのように受け取るかは個人価値観に委ねられています。
縁起に対する感じ方や解釈の違い
縁起というものは固定的な評価ではなく、地域の慣習や個人の信仰、宗教観や風水によって受け止め方や解釈が異なります。「仏花=不吉」ととらえる地域や家庭がある一方で、浄化や守護の象徴とされるケースも存在します。
こうしたイメージは習慣や文化の影響によるものであり、植物そのものに不吉な意味があると示す科学的な根拠はありません。
コウヤマキは日本書紀にも登場するほど古くから存在し、寺社仏閣では浄化や結界の象徴として用いられてきました。高野山などの聖なる場所に植えられ、「霊木」として大切にされてきた歴史があり、寺社仏閣では浄化や結界の象徴として重宝されることがあります。
また、風水の観点から見れば、真っ直ぐ天に伸びる姿は「気の流れを整える」とも解釈され、むしろ良い意味として捉えられることもあります。
つまり、どのように受け取るかは個々の価値観、宗教観などに左右されるものです。不確かな情報だけでコウヤマキが縁起悪いと判断するのは、賢明ではないでしょう。
コウヤマキ以外にも縁起悪いと言われている樹種があります。「ザクロの庭木は縁起悪いの?迷信や文化的信仰に基づく庭づくりのヒント」でも解説していますので参考にしてください。
コウヤマキの特徴

縁起が悪いという説もあるコウヤマキですが、確かな根拠は見当たらず、あくまで一部の印象に基づく評価と考えられます。また、縁起の受け止め方は人それぞれです。コウヤマキが縁起悪いという情報を信じることは、コウヤマキを遠ざけることにつながります。ここでは、コウヤマキを理解するためにも、コウヤマキの特徴について紹介します。
コウヤマキは生育がゆるやかで長寿
コウヤマキは成長速度がゆっくりで樹高が高くなるまでに時間を要しますが、その一方で非常に長寿であることが知られています。
千年以上生きる個体も存在し、悠然とたたずむその姿には重厚感さえ感じられます。葉は放射状に広がる独特な形状をしており、他の常緑樹とは一線を画す美しさを持ちます。
日当たりと水はけのよい環境を好みますが、乾燥や日陰にもある程度耐性があるため、管理の手間が比較的少ない樹木とされています。こうした特徴を持つ植物は、庭木としても扱いやすく「縁起悪い」とされるイメージとは裏腹に、落ち着いた風景づくりに貢献してくれる存在です。
仏教・神道の儀式に登場する神聖な存在
コウヤマキが持つ文化的な背景を紐解くと、単なる庭木にとどまらない深い意味合いが浮かび上がります。特に高野山では、古くから「聖木」として扱われており、仏教の儀式では供花として欠かせない存在です。
また、神道の世界でも神聖視されることがあり、寺社の境内や神事の場に植えられている例も多く見られます。こうした伝統的な使用例は、コウヤマキが単に仏事に用いられる木ではなく、むしろ神仏に近い存在として敬われてきたことを示しています。
ネガティブなイメージだけでその価値を判断するのではなく、長い歴史の中で培われた役割にも目を向けることでコウヤマキに対する見方が変わってくるはずです。
植えるかどうかは目的と価値観で判断するのが無難

コウヤマキが縁起悪いという情報に明確な根拠はありません。しかし、縁起悪いという噂がある以上、庭に植えることをためらう人もいるでしょう。庭に植えるかどうかは目的と、自身の価値観で判断するのが無難です。
縁起よりも植栽としての利点を重視する
コウヤマキを庭木として検討する場合、縁起の善し悪しよりも、植栽としての実用性や景観への適性を基準にするという考え方もあります。例えば、コウヤマキは樹形が整いやすく、葉も落ちにくいため、和風庭園と非常に相性が良い樹木といえます。
凛とした姿は外構デザインのアクセントになり、控えめながらも上品な印象を与えてくれるでしょう。また、ある程度の高さに育つことから、隣家との目隠しや日除けとしての機能性も期待できます。
常緑性であるため冬でも緑を保ち、季節を問わず庭に彩りを添えてくれるのも魅力のひとつです。成長が緩やかなぶん、頻繁な剪定を必要としないお手入れのしやすさも、忙しい家庭にとっては扱いやすい樹種だといえます。
不安がある場合は他の樹種を検討する選択肢も
とはいえ、「縁起悪い」とするネガティブなイメージがどうしても気になる場合は、無理に選ばず、他の常緑樹を検討するのも一つの手です。コウヤマキ縁起悪いということを気にしつつ庭に植えた後で、自分や身の回りに不幸が起こったとしたら、コウヤマキが原因だと思うかもしれません。
もし縁起悪いという情報が少しでも気にかかっているなら、無理をせず他の植物を植えた方が心穏やかに過ごせるでしょう。
例えば、ソヨゴやナンテンといった樹種は、同様に和風の庭と調和しやすく「縁起のよい木」として紹介されることも多くあります。
ソヨゴは風にそよぐ葉の音が柔らかく、家屋の周囲に穏やかな印象を与えてくれますし、ナンテンは「難を転ずる」という語呂から縁起木として知られ、冬には赤い実が庭を彩ります。これらの木々は、比較的管理も容易で玄関先やアプローチなどに植えるにも適しています。
最終的には、植える目的や空間との相性、手入れのしやすさなどを含めて判断することが重要です。縁起を気にする気持ちがある場合には、それを否定する必要はなく、気持ちよく暮らせる選択を優先することが後悔しない植栽計画につながります。
コウヤマキの育て方と管理のポイント
コウヤマキを庭に植えることになったら、健康に保つためにも適切な育て方と管理方法を知ることが大切です。
丈夫な常緑樹でも環境選びが重要
コウヤマキは比較的育てやすい常緑樹のひとつですが、環境によっては生育が不安定になることもあります。基本的には日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。ただし、乾燥しすぎると葉先が茶色くなることがあるため、水はけを確保しながらも、適度な湿度が保たれるよう配慮することが大切です。
植え付けの適期は春か秋です。根鉢を傷つけないように丁寧に扱い、定植後はたっぷりと水を与えて根付きを促します。若木のうちは根の張りが浅いため、支柱を使って風によるぐらつきを防ぐと安定します。
支柱の立て方について、「植木支柱のやり方は?支柱が必要なケースと基本的な設置法を解説」でも詳しく解説しています。
剪定は控えめに自然な樹形を活かす
コウヤマキは成長がゆるやかで、剪定による形づくりを頻繁に行わなくても樹姿が整いやすい樹種です。そのため、基本的には大がかりな剪定は必要ありません。もし込み入った枝や枯れ枝が気になる場合は、冬の休眠期に軽く整える程度にとどめると良いでしょう。
過度に剪定を行うと、樹勢が弱る原因になるため注意が必要です。また、コウヤマキは頂芽優勢(ちょうがゆうせい)の性質があり、上へと真っすぐ伸びる枝が特長です。この特徴を活かすことで凛とした姿を保ちながら自然な雰囲気を演出できます。
病害虫は少ないが管理不足による枯れに注意
コウヤマキは比較的病害虫の被害が少なく、管理がしやすいです。ただし、水切れや過湿、剪定時期の誤りが原因で弱ってしまうケースもあります。特に葉の変色や枝先の枯れ込みは、見た目に影響を与えるだけでなく、縁起を気にする人にとってはマイナスの印象につながる可能性があります。
こうしたトラブルを防ぐには、生育に適した環境場所を選ぶことに加え、年に一度は土の状態や排水性を確認するなど日々の適切な管理が鍵になります。
まとめ|コウヤマキの「縁起悪い」情報に根拠はないが慎重な判断を!
コウヤマキは仏事で使われることから縁起が悪いとされることもありますが、実際には荘厳な木として古くから大切にされてきました。植えるかどうかは、その由来や特性を理解した上で、自分の価値観や目的に合わせて判断するのが賢明です。庭木としての美しさや管理のしやすさも魅力のひとつであるため、巷の情報に左右されすぎず、冷静に選択することが大切です。