サルスベリの剪定方法を図解で解説!美しい樹形と花を保つためのコツ

サルスベリは、夏から秋にかけて長く鮮やかな花を楽しめる人気の庭木です。しかし、樹形が乱れたり花つきが悪くなったりするのは、剪定の方法や時期を誤っていることが主な原因です。正しいタイミングで枝を整えることで、毎年美しい花を咲かせるだけでなく、病害虫の予防や木の健康維持にもつながります。本記事では、サルスベリの剪定を図解とともにわかりやすく解説します。美しいサルスベリを楽しむための参考にしてみてください。
記事のポイント
- サルスベリの剪定時期を守る重要性
- 枝の整理方法のポイント
- 適切な年間管理のやり方
サルスベリの剪定は「適切な時期」を守るのが基本

サルスベリを美しく育てるためには、まず剪定の時期を間違えないことが大切です。開花後や冬の休眠期など、木の状態に合わせて枝を整理することで、花つきや樹形に大きな差が出ます。逆に、不適切なタイミングで強めの剪定をしてしまうと、翌年の花が減ったり木に負担を与えたりする原因となるため注意が必要です。
花後(8月頃)の剪定で翌年の開花を促す
花後の剪定は、翌年も豊かに花を咲かせたい場合に欠かせません。サルスベリは新しく伸びた枝の先端に花をつける性質があるため、花が終わったら枝先を切り戻すことで新梢の成長を促し、翌年の花芽を増やせます。
この作業は初秋までに行うのが理想で、遅れると新しい枝が育たず翌年の開花数が減る恐れがあります。
冬(12月~3月頃)の剪定で樹形を整え健康を維持する
冬の落葉期に行う剪定は、サルスベリの姿を整えるとともに木の健康を保つ役割があります。葉が落ちて枝ぶりが見やすい時期なので、太い枝の整理、内向き枝や交差枝の除去がしやすく、日当たりと通風を改善できます。
これにより病害虫の発生を防ぎ、翌年も元気に育つ環境を整えられます。冬剪定は強めに切っても木が受ける負担が少ない点も特徴です。
特にサルスベリは成長が早く枝数も増えやすいため、放置すると混み合って見た目が乱れるだけでなく、湿度が高まり病害虫の発生リスクも高まります。剪定の基本は「不要な枝を減らし、残す枝を際立たせる」ことです。
夏の強剪定は避けるべき理由
夏の時期に強く枝を切るのは避けた方が無難です。成長期に過度な剪定を行うと、樹勢が弱まり花つきが悪くなるだけでなく、切り口から病気が入りやすくなるリスクもあります。どうしても邪魔な枝を処理したい場合は、軽く枝先を整える程度にとどめましょう。
サルスベリの剪定は図解で枝の整理をイメージすると分かりやすい
サルスベリの剪定は、枝をどの位置で切るかを理解し、全体像をイメージして行うことが重要です。図解を参考に、太い枝、交差する枝、細い枝をそれぞれ整理すると、木の形が整い花つきも良くなります。
太い枝は付け根から切り落とす

太い枝を切るときは枝の途中で切らず、付け根から落とすのが基本です。中途半端に残すと切り口から病気が侵入しやすく、枯れ込みの原因になるからです。
幹や太枝から伸びている枝を基部で整理することで、残された枝に効率よく養分が回り、花つきが安定します。また、太枝を処理する際は鋸を使い、切り口が裂けないように注意しましょう。
交差枝や内向き枝を取り除き風通しを良くする

重なったり、樹の中心に向かって伸びたりする枝は早めに取り除きましょう。交差枝や内向き枝は、放置すると枝同士が擦れ合い傷がつき、そこから病気が広がることがあります。
中心部をすっきりさせ、日光と風が入りやすい状態を作ると、健康的に成長し病害虫の被害も減らせます。
細枝は残しすぎず全体のバランスを整える
細い枝は多すぎると全体が込み合い、花芽が分散してしまいます。残す枝を選びながら整理し、形を整えることで樹形が美しくなり、一つひとつの花も引き立ちます。枝数を減らすと新しい枝の成長も促され、翌年以降の開花につながります。
目的に応じた剪定で理想のサルスベリに

サルスベリの剪定は「どのように育てたいか」という目的に応じて方法を変えることが大切です。花をたくさん咲かせたいのか、高さを抑えて管理したいのか、あるいはシンボルツリーとして存在感を出したいのかによって、枝の切り方や残す部分が異なります。図解を参考にしながら枝先や樹高を調整すれば、理想に近い形でサルスベリを育てられます。
花数を増やしたいなら枝先を短く切る
花数を増やすには、花が終わった後に枝先を短めに切ることが効果的です。サルスベリは新しく伸びた枝に花芽をつける性質があるため、枝先を切り戻すことで翌年の枝数が増え、結果的に花の数も増加します。
剪定する際は、葉芽を残して2〜3芽ほどの位置で切るのが基本です。これにより、枝の更新がスムーズに進み、株全体が若返ったように元気になります。
樹高を抑えるなら強めの剪定で高さを管理
樹高を低く保ちたい場合は、冬の休眠期に強めの剪定を行いましょう。サルスベリは放っておくと数mにも成長するため、庭木として扱いやすい大きさを維持するには高さを意識した切り戻しが欠かせません。
太い枝を根元から落とし、全体のバランスを見ながら枝の長さを抑えることで、見栄えと管理のしやすさを両立できます。
シンボルツリーとして育てるなら枝ぶりを重視
シンボルツリーにしたい場合は、枝の配置や曲がり具合を重視して剪定します。外側へ広がる枝を残し、交差枝や内向き枝を整理することで、樹形に奥行きと立体感が出ます。
また、太い枝を途中で切らず付け根から落とすと、幹がすっきりして力強さが際立ちます。風通しが良く、樹形が美しいサルスベリは庭の主役として長く楽しめるでしょう。
サルスベリの剪定で失敗を防ぐための注意点
サルスベリを健康に育てるには、剪定時にいくつかの注意点を押さえることです。切り口の処理や枝の切り方を誤ると、病気や樹勢の衰えにつながりやすいため、正しい方法を理解して作業することが大切です。特に癒合剤の使用、切る位置の選び方、そして木の年齢に応じた対応が重要なポイントになります。
切り口には癒合剤を塗って病気を防ぐ
剪定で太い枝を落とした際には、切り口をそのまま放置せず癒合剤を塗ることが推奨されます。サルスベリは切り口から雑菌や雨水が入り込みやすく、そこから腐敗が進むことがあるからです。
癒合剤を塗布することで傷の乾燥を防ぎ、治癒を促進できるため、木の健康維持に効果的です。特に冬季や梅雨前の剪定では、病害のリスクが高まるため忘れずに行いましょう。
理想の樹形に合わせて切る位置を変える

枝の切り方によって、枝の形が変わってくるため理想の樹形に合わせて切る位置を変えましょう。毎年同じ場所で枝を切り戻すことは、枝先をこぶ状に膨らませる要因です。また、枝がこぶ状になると、こぶの部分から新しく伸びた枝が細く弱くなりやすいです。
そのため、こぶ状の樹形を好まない場合や細い枝の手入れを負担に感じるなら、毎年切る位置を変えましょう。ただし、あえて枝先の先端にこぶを作りたいなら、剪定で同じ個所を切ることでこぶを作れます。(こぶ仕立て)
ただし、サルスベリは新梢に花をつけるため、切る位置を変えて更新していくことが望ましいです。毎年同じ場所を繰り返し切るだけでなく、株全体のバランスを見ながら剪定することが、樹形と花つきを良好に保つ秘訣です。
若木と成木では剪定方法を変える
若木と成木では枝の性質が異なるため、剪定の方法も樹齢で使い分ける必要があります。若木は枝を強く切りすぎると成長が妨げられるため、軽めの剪定で樹形を整える程度に留めます。
一方、成木は枝数が増えて込み合いやすいため、太枝の整理や更新剪定を行い、風通しと日当たりを確保することが重要です。木の年齢に合わせて適切に対応することで、長くすこやかにサルスベリを育てられるでしょう。
剪定の基本的なやり方について「図解で解説する剪定のやり方!効果的な木の手入れと剪定のコツを伝授」でも詳しく解説していますので、ご覧ください。
正しい年間管理で美しくすこやかなサルスベリに育てる

サルスベリは剪定だけでなく、年間を通じた管理を意識することで一層美しく育ちます。剪定後のケアや肥料、水やりのタイミングを調整し、病害虫への予防策を取り入れることで、毎年安定して花を楽しめるでしょう。
とくに庭木として長く育てたい場合、日常的な観察と季節ごとの手入れを組み合わせることが大切です。
剪定と合わせて肥料・水やりを適切に行う
肥料や水やりは、剪定と同じくらい重要な管理作業です。サルスベリは開花時期に多くのエネルギーを消費するため、花後や冬の剪定後に緩効性肥料を施すとスムーズな回復につながります。
また、夏の乾燥期には適度な水やりを心がけ、地表が乾いたらたっぷり与えるのが基本です。水不足は花数の減少につながるため注意しましょう。
病害虫対策は日当たりと風通しを確保する
病害虫の被害を防ぐには、環境づくりが効果的です。サルスベリはうどんこ病やアブラムシが発生しやすい樹木ですが、日当たりと風通しを確保することで発生リスクを大幅に減らせます。
剪定によって枝が混み合わないように整理し、樹の内部に光と風が届く状態を維持することが病害虫の予防につながります。
毎年の生育を観察して剪定量を調整する
サルスベリは生育環境や樹齢によって枝の伸び方や花つきに差が出ます。そのため、毎年同じように剪定するのではなく、その年の枝の伸び具合や樹勢を観察して量を調整することが重要です。
勢いが弱いときは軽めに切り、枝数が多すぎるときは思い切って整理するなど、柔軟に対応することで樹形と花のバランスを保てます。
まとめ:サルスベリの健康と美しさは正しい剪定時期と方法がポイント
サルスベリの剪定は、正しい時期と方法を守ることで毎年美しい花を咲かせることができます。花後の切り戻しで翌年の花数を増やし、冬の剪定で樹形を整えることが基本です。さらに枝の整理や目的に応じた切り方を意識すれば、理想的な姿に育てられます。切り口の処理や年齢に応じた対応を忘れず、肥料や病害虫対策を含めた年間管理を行えば、健康で魅力的なサルスベリを長く楽しめるでしょう。